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【海外競馬ニュース】
え?競馬場の運営って民間会社だったの? 英国で起きたライセンス問題
日本で #競馬場 といえば、まず思い浮かぶのは #JRA や地方競馬ではないでしょうか。
ところが英国では、少し事情が違います。
英国では、競馬場を民間企業などが所有・運営し、レースを開催するには、#英国競馬統括機関 であるBHA(British Horseracing Authority)のライセンスが必要になります。
つまり、
競馬場がある
馬場もある
スタンドもある
それでも、開催ライセンスが認められなければレースはできない。
そんな事態が、現在 #チェルムスフォード競馬場 で起きています。
運営会社が破綻し、新会社にもライセンスが下りなかった
6月26日、BHAはチェルムスフォード競馬場をめぐる新運営会社ゴールデンマイルレーシング(Golden Mile Racing Limited)の不服申し立てについて、独立ライセンス委員会が初期判断を公表したと発表しました。
BHAの発表では、次のように説明されています。
"The independent Licensing Committee has today published its initial findings"
「独立ライセンス委員会が本日、初期判断を公表した」
この問題の発端は、以前のライセンス保有者だったグレートリーズエステーツ(Great Leighs Estates Limited)が管理手続きに入ったことです。
簡単に言えば、これまでチェルムスフォード競馬場を運営していた会社が経営難に陥り、その後、新会社のゴールデンマイルレーシングが競馬場運営を引き継ごうとした、という流れです。
ただし、BHAは4月1日の時点で、この新会社にライセンスを与えない判断を出していました。
BHAは4月1日の発表で、
"a racecourse licence will not be granted"
「競馬場ライセンスは付与されない」
と明記しています。
つまり、競馬場そのものに問題がある訳ではありません。
問題になっているのは、
この会社に競馬場運営を任せてもよいのか
という点です。
なぜライセンスは認められなかったのか
今回の問題で重要なのは、
旧会社が破綻した
新会社が引き継ごうとした
でも、その新会社にもライセンスが認められなかった
という点です。
では、なぜ認められなかったのでしょうか。
Racing Postは6月26日、BHAがゴールデンマイルレーシングへのライセンス付与を適切ではないと判断した背景として、
旧運営会社の債務
開催日程の権利関係
新会社の取締役の適格性
旧運営会社に関わっていたジョン・ホームズ氏の影響
などが問題になっていたと報じています。
ここで出てくるジョン・ホームズ氏は、チェルムスフォード競馬場の歴史に深く関わってきた人物です。
ガーディアンは4月1日の記事で、同氏について、かつてこの競馬場をグレートリーズとして開設した実業家だと説明しています。
そのためBHA側は、新会社が本当に旧運営体制から独立して運営されるのかを疑問視したとみられます。
旧会社の借金を残したまま、新会社だけが再開する問題
もう一つ分かりにくいのが、旧会社の債務問題です。
Racing Postによれば、旧運営会社グレートリーズエステーツの債務は、当初の管理人報告で見込まれていた約2220万ポンドよりも大きく、約3000万ポンドにのぼることが明らかになったとされています。
ここで問題になるのは、
旧会社には多額の借金が残っている
その旧会社にお金を貸していた人や、支払いを受けるはずだった取引先がいる
その一方で、新会社だけがライセンスを得て競馬開催を再開すれば、競馬場の収益だけが新会社側に移る可能性がある
という点です。
つまり、旧会社にお金を貸した側や取引先から見れば、
「借金は旧会社に残したまま、新しい会社だけが競馬場運営で利益を得るのか?」
という話になりかねません。
だからBHAにとっては、新会社が本当に適切な運営主体なのか、旧会社との関係は整理されているのか、財務面やガバナンスに問題はないのかを慎重に見る必要があったわけです。
単に、
「新会社を作りました。だからレースを再開させてください」
では済まなかったということです。
日本で例えるなら?
日本人に分かりやすく言えば、少しだけ #プロ野球 の球場に近い感覚かもしれません。
例えば、球場を持つ運営会社があり、野球の試合がない日にはコンサートや大型イベントを行って収益を得る。
そして、その運営会社が経営破綻し、新しい会社が引き継ごうとしたものの、公式戦開催の承認が下りず、
球場はあるのに試合ができない
というイメージです。
もちろん、日本のプロ野球と英国競馬の制度は同じではありません。
ただ、英国の競馬場を日本人が理解する入口としては、この例えがかなり近いと思います。
ちなみに日本にも、民間会社が所有する競馬場があります。
それが #中京競馬場 です。
中京競馬場は、名古屋競馬株式会社が所有する競馬場です。
ただし、ここで誤解してはいけないのは、日本と英国では競馬開催の仕組みが違うという点です。
中京競馬場で中央競馬を開催する主体は、あくまで #JRA です。
つまり日本では、民間会社が競馬場施設を所有している例はあっても、中央競馬の開催主体はJRAです。
そのため、仮に中京競馬場を所有する会社に経営上の問題が起きたとしても、今回の英国のように、
民間の競馬場運営会社にライセンスが下りない
だから競馬場があるのに開催できない
という形とは仕組みが違います。
日本の地方競馬の廃止とも違う
日本では、過去に多くの地方競馬場が廃止されてきました。
その背景には、売上低迷、自治体財政、赤字運営などがありました。
しかし、今回のチェルムスフォード競馬場の問題を、それと同じように見るのは少し違います。
まとめると今回の問題は、
競馬人気が落ちたから閉鎖
というより、
民間運営会社が経営難に陥った
新会社にもライセンスが認められなかった
旧会社の債務や新会社の独立性が問題になった
その結果、競馬場があっても開催できない
という構造です。
Sporting Lifeは6月26日、チェルムスフォード競馬場について、
"The future of Chelmsford Racecourse is again hanging in the balance"
「チェルムスフォード競馬場の将来は、再び不安定な状態にある」
と報じています。
同記事では、チェルムスフォード競馬場が3月以降、開催を行えていないことも伝えています。
さらにBHAは、チェルムスフォード競馬場の12日分の開催日程について、旧運営会社グレートリーズエステーツの管理人側に残っており、BHAの同意を得たうえで、別のライセンスを持つ競馬場運営者に売却または移転される可能性があると説明しています。
つまり英国では、競馬場そのものだけでなく、「開催日程」も重要な権利として扱われているのです。
今回のニュースが面白いのは、単なる一競馬場の経営問題ではないからです。
日本では、競馬場があれば、そこで競馬が開催されるのが当たり前という感覚があります。
しかし英国では、
誰が競馬場を運営するのか
その会社に開催を任せてもよいのか
財務面やガバナンスに問題はないのか
という点まで審査されます。
競馬場はある。
でも、運営会社がライセンスを得られなければレースはできない。
これは、日本の競馬ファンにとってはかなり意外な仕組みではないでしょうか。
同じ競馬でも、国が違えば、競馬場の持ち方も、運営の仕組みも、開催の権利も大きく違います。
チェルムスフォード競馬場の今後については、引き続き海外報道を確認し、動きがあれば追って紹介する予定です。
【参考資料】
British Horseracing Authority
Golden Mile Racing Ltd: BHA Statement
2026年6月26日
British Horseracing Authority
BHA Board decision regarding a licence application by Golden Mile Racing Limited
2026年4月1日
Racing Post
Future of Chelmsford racecourse dealt a blow as appeal for new company to be granted a licence to run the track is dismissed with increased £30m debt revealed
2026年6月26日
Sporting Life
Chelmsford Racecourse future in balance after Golden Mile Racing appeal fails
2026年6月26日
The Guardian
Justin Timberlake’s walk-on part back in spotlight as Chelmsford faces closure fears
2026年4月1日
名古屋競馬株式会社
会社概要・中京競馬場について
2026年6月28日
うまラボ編集部
元記事:Xで公開した記事
