純血アラブ馬の祭典「中央ヨーロッパ・アラビアンダービー」 ポーランドで11頭が激突

純血アラブ馬の祭典「中央ヨーロッパ・アラビアンダービー」 ポーランドで11頭が激突

ポーランドのスウジェヴィエツ競馬場で27日、純血アラブ馬によるUAEプレジデンツカップ第15戦「中央ヨーロッパ・アラビアン・ダービー」が行われた。

出走できるのは4歳の純血アラブ馬。芝2000メートルのG3に11頭が出走し、賞金総額は20万ユーロ、約3500万円。カタールの有力馬ファルーク・アルシャハニアとカッダーのほか、リビアからも3頭が参戦した。

UAEプレジデンツカップは、各国を転戦する純血アラブ馬の国際シリーズ。今回のポーランド戦は第33回シリーズの欧州最終戦として行われた。

■ そもそも純血アラブの競馬とは?

日本では現在、競馬といえばほぼサラブレッドだが、世界には純血アラブによる競馬が現在も存在する。

しかも単なる余興ではない。

フランス、中東、ポーランドなどを中心に国際的な競走体系があり、G1、G2、G3というグループ競走も存在する。

今回の中央ヨーロッパ・アラビアンダービーも「G3 PA」。PAはPurebred Arabianを意味する。

つまり、「アラブ馬が走るイベント」ではなく、国際的な格付けを持つ本格的な競馬なのである。

■ なぜポーランドで「中央ヨーロッパダービー」?

このレースが誕生したのは2021年。

当初は世界的なアラブ馬の種牡馬である「Tiwaiq」(トゥワイク)を冠した「Tiwaiq Central European Arabian Derby」という名称で創設された。

目的の一つが、中央ヨーロッパで走る優秀な4歳アラブ馬に、国際的に競い合える舞台を作ることだった。

そして、このレースには非常に重要な特徴がある。

実はポーランドには、これとは別に昔から「Arabian Derby」が存在する。

ポーランドのアラブダービーの歴史は古く、最初の競走は1927年。戦後はスウジェヴィエツ競馬場の3000メートルで行われるようになった。

ところが1993年以降、原則としてポーランド国内生産馬だけが出走できる競走になっている。

そこで中央ヨーロッパ・アラビアンダービーは、外国産馬にも門戸を開放した国際的な4歳馬の舞台として誕生した。

つまりポーランドには、

「国内生産のアラブ馬が争う伝統のダービー」

と、

「外国産馬も参戦できる中央ヨーロッパ・アラビアンダービー」

という性格の異なる“アラブのダービー”が存在している。

■ 2021年に始まった新しいダービーが、一気に国際競走へ

第1回は2021年。賞金総額は11万9000ズロチだった。

その後レースは成長し、2025年には大きな転機を迎える。

世界各地を転戦する純血アラブの国際シリーズ「UAE President Cup」に組み込まれたのだ。

UAE President Cup自体は2026年で33回目を迎える歴史あるシリーズで、世界各国で純血アラブの競走を開催している。

シリーズ入りによって賞金も大幅に増加。

2025年には賞金総額61万6500ズロチとなり、フランスから実績馬が遠征してくるほどの国際競走へ変貌した。

そして2026年はG3として芝2000メートル、4歳の純血アラブ限定で開催された。

■ 今年は11頭。フランス、カタール、リビアなど国際色豊かな顔ぶれ

今年の出走馬は11頭。

カタールの有力馬をはじめ、フランスを拠点とする実績馬、リビア系オーナーの所有馬などがポーランドへ集まった。

しかも騎手にも、日本の競馬ファンが知っている名前があった。

出走馬マーディ・デュ・ブルイユに騎乗したのはクリスチャン・デムーロ。

凱旋門賞を2度制している世界的騎手が、ポーランドで純血アラブのダービーに騎乗していたのである。

■ 勝ったのはアークティック・ド・テーゼ

今年の勝者は4歳馬アークティック・ド・テーゼ(Arctyc de Tese)。

最後の直線で抜け出し、2着カッダーに2馬身半差をつけて優勝した。

勝ち時計は2分14秒70。

同馬にとって7戦目での2勝目となった。

そして、この競走をもって2026年UAE President Cupのヨーロッパシリーズも終了した。

■ 日本から見ると消えてしまった「アラブ競馬」、世界では今もG1・G2・G3がある

ここが、日本の競馬ファンにとって一番興味深いところかもしれない。

日本にもかつてアラブ系競走馬による競馬が存在した。

しかし現在の日本競馬を見ているだけでは、「アラブ競馬」という言葉そのものを聞く機会さえほとんどなくなった。

一方、海外では純血アラブによる競馬が現在も行われ、国際的なグループ競走が組まれ、世界各国から馬が集まるダービーまで存在する。

しかもポーランドでは、アラブ馬によるダービーの歴史が約100年前までさかのぼる。

日本ではほとんど目にすることがなくなったアラブ競馬。

世界に目を向ければ、それは過去の競馬ではなく、今も国際シリーズが開催され、新しい競走まで生まれている「現在進行形の競馬」なのである。

26.9.29 うまラボコラム班

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