英国アスコット競馬場で8月8日に開催される騎手対抗戦「シャーガーカップ」の出場騎手が発表されました。
日本からは武豊騎手が世界選抜として9回目の出場。過去4勝を挙げている名手が、今年も世界のトップジョッキーたちと腕を競います。
また、クリストフ・ルメール騎手は欧州選抜に選出。英国、フランス、世界各国のトップジョッキーが集結する、夏の名物イベントとなっています。
今年のシャーガーカップで最も大きな変更点は、チーム編成です。
これまで存在していた「アジア選抜」が廃止され、新たに「チーム香港」が誕生しました。
チーム香港はヴィンセント・ホー騎手をキャプテンに、ジェリー・チャウ騎手、ルーク・フェラリス騎手の3人で構成されます。
香港ジョッキークラブ(HKJC)が単独チームとして大会に参加するのは今回が初めてです。
そして、このチーム香港の新設とあわせて、アスコット競馬場と香港ジョッキークラブは、2026年のシャーガーカップを初めて「ワールドプール」の対象競走として実施することも発表しました。
アスコット競馬場は公式発表の中で、
「香港ジョッキークラブの参画により、シャーガーカップは新たな時代を迎える。」
と説明しています。
米国の競馬メディア「サラブレッドデイリーニュース」は、今回の発表を次のように報じています。
“Ascot's Dubai Duty Free Shergar Cup will be run under the World Pool banner for the first time on Saturday, Aug. 8.”
(8月8日土曜日に行われるアスコットのドバイデューティーフリー・シャーガーカップは、初めてワールドプールの枠組みで実施される。)
つまり、今年のシャーガーカップは、香港チームが初参戦するだけではありません。
馬券発売の面でも、G1レース以外での初めてワールドプール対象として世界的に注目されているのです。
では、この「ワールドプール」とは一体どのような仕組みなのでしょうか。
まず、日本で海外競馬の馬券を購入したことがある方なら、「海外のレースもJRAで買える」と思っている方も多いでしょう。
例えば、凱旋門賞や香港国際競走などは、日本でもJRAから馬券が発売されています。
しかし、この馬券は海外の馬券売上と一緒に計算されているわけではありません。
JRA公式サイトでも、海外競馬の発売は「独立プール方式」とされており、日本国内で発売された馬券だけを集計して、日本独自のオッズと払戻金を算出しています。
一方、英国では英国のトート、香港では香港のトートと、それぞれ独自に売上が集計されます。
つまり、同じレースでも、
・日本で見た人気とオッズ
・英国で見た人気とオッズ
・香港で見た人気とオッズ
が異なることが当たり前になっています。
また、それぞれが別々に売上を集計するため、プール金額も分散してしまいます。
プール金額が小さくなると、大口投票によるオッズ変動を受けやすくなり、国ごとの人気の違いもオッズへ反映されやすくなります。
こうした課題を解決するために誕生したのが「ワールドプール」です。
ワールドプールとは、香港ジョッキークラブを中心に、参加する競馬主催者や発売事業者の売上を一つの共同プールとして集計する国際的な馬券発売システムです。
世界中すべての馬券が対象になるわけではありません。
ワールドプールへ参加している競馬主催者・発売事業者の売上を共同で集計する仕組みです。
これにより、
・売上規模が大きくなる
・オッズが安定しやすくなる
・国ごとの人気差による偏りが小さくなりやすい
などのメリットがあります。
ワールドプールは2019年、ロイヤルアスコットで初めて導入され、その後は英国をはじめ、オーストラリア、ドバイ、南アフリカなど世界各国の主要レースへ広がってきました。
今回のシャーガーカップは、G1競走ではないイベントとして初めてワールドプール対象となります。
これは単なる騎手対抗戦というだけでなく、英国競馬と香港ジョッキークラブの協力関係が新たな段階へ進んだことを象徴する出来事と言えるでしょう。
一方、日本競馬も世界から注目を集めています。
香港ジョッキークラブでは、ジャパンカップや有馬記念をはじめ、多くの日本の主要競走が海外発売の対象となっており、海外の競馬ファンが自国から日本競馬の馬券を購入できる環境が整っています。
つまり現在は、
日本から海外競馬を買う時代。
そして海外から日本競馬を買う時代でもあります。
競馬そのものだけでなく、馬券発売の仕組みも世界規模で変わり始めています。
今回のシャーガーカップは、その変化を象徴する大会としても注目されそうです。
将来的に日本からもワールドプール対象レースが買える日が来るかもしれません。
あとはJRAさんの決断次第ですね。
皆さんは世界中の馬券売り上げが1か所に集まって集計されるこのシステム。日本からも買えるようになって欲しいと思いませんか?
26.7.7
うまラボ編集部

