故意の進路妨害でも降着なし アイルランド競馬の裁定から見えた「日本で降着が減った理由」

故意の進路妨害でも降着なし  アイルランド競馬の裁定から見えた「日本で降着が減った理由」

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【海外競馬ニュース】

故意の進路妨害でも降着なし

アイルランド競馬の裁定から見えた「日本で降着が減った理由」

「故意の進路妨害」と認定されたのに、馬は降着しなかった。

先日、アイルランド競馬でそんな裁定がありました。

舞台は6月24日、アイルランド・ナース競馬場で行われた「アイリッシュ・スタリオン・ファームズ EBF フィリーズ・メイデン」で、ジェシカ・ハリントン厩舎のムーンリットサンが1位入線。2着にはエイダン・オブライエン厩舎のホワイトサンドビーチが入りました。

しかし、最後の直線でムーンリットサンがホワイトサンドビーチに対して進路妨害をしたとして、レース後に審議が行われました。

IHRB、アイルランド競馬監督機関の公式裁決レポートには、次のように記されています。

原文:
“while Moonlit Sun had caused interference to White Sand Beach (USA) she did not improve her finishing position as a result of this interference so they made no alteration to the Judge’s placings.”

和訳:
「ムーンリットサンはホワイトサンドビーチに走行妨害を与えたが、その妨害によって着順を上げたとは判断されなかったため、裁決委員は着順を変更しなかった。」

つまり、妨害はあった。

しかし、その妨害がなければ2着馬が1着馬に先着していた、とまでは判断されなかった。

そのため、ムーンリットサンの1着はそのまま確定しました。

一方で、騎乗していたシェーン・フォーリー騎手については、別の判断が下されています。

IHRBの裁決レポートには、さらにこうあります。

原文:
“S. Foley, had intentionally interfered with White Sand Beach and as such was in breach of Rule 214 in that he had ridden improperly.”

和訳:
「シェーン・フォーリー騎手はホワイトサンドビーチに対して故意に進路妨害を行ったと判断され、Rule 214に違反する不適切な騎乗であった。」

その結果、フォーリー騎手には9開催日の騎乗停止処分が科されました。

ここで日本の競馬ファンが疑問に思うのは、

「故意の進路妨害なのに、なぜ降着にならないのか?」

という点ではないでしょうか。

実はこの考え方、現在の日本競馬とかなり近いものです。

昔の日本競馬では、審議ランプが点くと、

「これは着順が変わるかもしれない」

と馬券を握りしめながら、掲示板を見つめたファンも多かったはずです。

実際、昔は今よりも降着が多かった印象を持っている方も少なくないと思います。

その大きな理由が、2013年のルール変更です。

JRAは2013年から、降着・失格の判断基準を大きく変更しました。

2012年までの考え方は、簡単に言えば、

「走行妨害が被害馬の競走能力の発揮に重大な影響を与えたか」

というものでした。

大きな不利を受けたと判断されれば、加害馬が降着になるケースがありました。

しかし、2013年以降は基準が変わります。

現在の降着基準は、

「その走行妨害がなければ、被害馬が加害馬に先着していたか」

です。

つまり、妨害があっただけでは降着にはなりません。

不利を受けた馬がいたとしても、

「その妨害がなければ、着順が逆転していた」

と裁決委員が判断しなければ、到達順位は変更されないのです。

JRAはこの変更理由について、

「競馬の国際化が進展する中、国際的に統一されたルールとする必要性がある」

と説明しています。

さらに、馬がレースで見せたパフォーマンス、つまり到達順位を尊重するための変更だったとも説明しています。

ここが今回のアイルランドの裁定と重なる部分です。

ムーンリットサンはホワイトサンドビーチに妨害を与えた。

フォーリー騎手の騎乗は不適切だった。

しかも裁決委員は、故意の進路妨害とまで判断した。

それでも、

「その妨害によって着順が改善したとは言えない」

と判断されたため、馬の着順は変更されませんでした。

その代わり、騎手には9開催日の騎乗停止処分が科されました。

つまり現在の国際的な裁定の考え方では、

馬の到達順位

と

騎手への制裁

を分けて判断する傾向が強くなっています。

危険な騎乗を見逃すわけではない。

しかし、馬の着順を変えるかどうかは、

「妨害があったか」

ではなく、

「妨害がなければ着順が逆転していたか」

で判断する。

これが現在の日本競馬にもつながる考え方です。

だからこそ、近年の日本競馬では、審議になっても着順が変わるケースが昔より少なくなっています。

#海外競馬 の裁定を見ていると、日本競馬のルール変更の意味も見えてきます。

昔のように、

「大きな妨害があれば降着」

の方が、ファンには分かりやすかったかもしれません。

一方で現在のルールは、

「レースで実際に示された到達順位をできるだけ尊重する」

という意味では、より国際的な考え方に近いものです。

あなたはどう思いますか?

「妨害があれば降着」の方が納得しやすいですか?

それとも、

「馬の着順」と「騎手への制裁」を分けて考える現在のルールの方が公平だと思いますか?

#競馬 #海外競馬ニュース #JRA #審議 #降着 #うまラボ

26.6.26 馬ラボ編集部

元記事:Xで公開した記事

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