競輪では常識。
競馬では制裁対象。
#スミヨン 騎手の“チーム戦術”処分で考える、競馬と競輪の違い。
ロイヤルアスコットのG1、#セントジェームズパレスS で、少し考えさせられる裁決がありました。
対象になったのは、クリストフ・スミヨン騎手。
騎乗していたのは、エイダン・オブライエン厩舎の #プエルトリコ。
そして、同じオブライエン厩舎から出走していた有力馬が、#ライアン・ムーア 騎手 の #グスタード でした。
Racing Postによると、英裁決はスミヨン騎手の騎乗について、
“team tactics”
「チーム戦術」
と表現。
さらに、プエルトリコを内ラチ沿いから外へ動かし、グスタードに内から進路を与えたと判断したと報じています。
スミヨン騎手には8日間の騎乗停止処分。
ただし、本人はこの判断を否定し、不服申立ても行っています。
ここでまず確認したいのは、これは英国だけの特殊な考え方ではないという点です。
日本の競馬でも、競馬は各馬が自分の能力を発揮して、最良の着順を目指すことが前提になっています。
JRAの競馬施行規程にも、
「騎手は、競走において、馬の全能力を発揮させなくてはならない」
と定められています。
また、競走に関する不正な協定や、競走の公正を害する行為は制裁対象になります。
つまり日本でも、「同じ厩舎だから」「同じ馬主だから」という理由で、他の馬を助けるために自分の馬の競走能力を使うことは、競馬の前提とは相いれません。
もちろん、同厩舎の複数出しそのものが問題という話ではありません。
展開を読むことが問題という話でもありません。
馬券を買う側として、同厩舎の複数出し、同馬主の複数出し、ペースメーカー的な逃げ馬の存在、展開を作る役割に見える馬などを、予想材料にしている方もいます。
問題になるのは、騎手が自分の騎乗馬の最善ではなく、別の馬を利する目的で動いたと裁決側に判断されるケースです。
今回の件が興味深いのは、これが今回だけの特殊な話ではないことです。
Racing Postの別記事では、今回の件について複数の記者が論評。
その中で、チーム戦術の議論は競馬界で新しいものではなく、2020年のセントジェームズパレスSでも、バリードイル勢の乗り方が議論になったと触れています。
つまり、海外競馬でも以前から、同厩舎の複数出しとチーム戦術の境界線は議論されてきたわけです。
ここで比較したくなるのが、競輪です。
競輪では、ラインがあります。
http://
KEIRIN.JPの初心者向けガイドでも、ラインとは「選手がチームを組んで走ること」と説明されています。
また、選手は風を避けたり、位置取りなど展開を有利に運ぶために、ラインと呼ばれるチームを組むとも説明されています。
競輪では、選手同士が連携する。
ライン同士の戦いを読む。
誰が前を取るのか、誰が番手なのか、どのラインが有利なのか。
それ自体が、予想の大きな前提です。
一方で競馬は、同じ厩舎でも、同じ馬主でも、各馬が自分の能力を発揮して最良の着順を目指すという前提で馬券が売られています。
ここが大きな違いです。
競輪は、ラインを含めてレース。
競馬は、各馬が自分の着順を目指す前提で成立しているレース。
だから競輪では当たり前の“連携”が、競馬では公正性の問題になることがあります。
では、競馬における展開作りとチーム戦術の境界線はどこにあるのか。
これはかなり難しい問題です。
皆さんはどう見ますか?
同厩舎の複数出しや、展開を作る役割に見える馬も、予想の一部として読むべきなのか。
それとも、レース中に他馬を助ける動きが見えた時点で、競馬としては一線を越えているのか。
26.6.22 うまラボ編集部

