レース中のムチは何回まで使えるのか 世界の競馬ルールを比べてみた

世界各国の競馬におけるムチ使用回数のルールを比較した記事画像

この記事は2026年7月2日にXで公開した原文を掲載しています。制度・数値などは公開当時の内容です。

【海外競馬ニュース】

意外と知らない競馬のルール

レース中のムチは何回まで使えるのか 世界の競馬ルールを比べてみた

南アフリカの競馬メディア、SAホースレーシング(
http://
SAHorseracing.com)が、世界各国のムチ使用ルールを比較する特集記事を掲載しました。

原文の見出しは、

Global Racing’s Whip Divide: How Different Countries Regulate Jockey Crop Use

(世界競馬におけるムチ規制の分断 各国はジョッキーのムチ使用をどう規制しているのか)

記事では、英国の名手ライアン・ムーア騎手がフランスへ遠征する場合を例に、国が変わればムチ使用ルールも変わり、騎乗スタイルそのものを調整しなければならないと紹介しています。

日本競馬 でも「ムチは何回まで使えるのか」「どこから制裁の対象になるのか」は、たびたび話題になります。

しかし世界を見ると、ルールは想像以上にバラバラです。

【世界のムチ使用ルール】

英国
・平地競走は6回まで
・障害競走は7回まで
・大幅超過では騎手だけでなく馬も失格対象

フランス
・使用上限は4回
・欧州でも特に厳しい国の一つ
・社会的な批判や動物福祉への関心を背景に厳格化

ドイツ
・使用回数は3回まで
・欧州の中でもかなり厳しいルール

豪州
・最後の100メートルまでは5回まで
・最後の100メートルは一定の裁量あり
・道中は制限、最後の勝負どころは裁量という考え方

南アフリカ
・上限は10回
・欧州よりは比較的緩やかな運用
・今回の比較記事を掲載した国でもある

アメリカ
・カリフォルニアでは6回まで
・州や管轄によってルールが異なる
・HISAの導入により全国的な基準作りも進んでいる

スウェーデン
・推進目的のムチ使用を原則禁止
・安全確保など必要な場合のみ使用可能
・「何回までなら使える」ではなく、「速く走らせるためには使わない」という考え方

特に大きく違うのが、スウェーデンです。

多くの国は「ムチを何回まで使えるか」という回数制限を設けています。

しかしスウェーデンは、そこからさらに踏み込みました。

騎手がムチを持つこと自体は禁止されていません。

ただし、馬を前へ進ませる目的で使うことは原則禁止。

認められるのは、危険回避など安全上必要な場面に限られます。

つまりスウェーデンは、回数制限ではなく「推進目的では使わない」というルールを採用しているのです。

また、SAホースレーシングの元記事では、日本について「固定された総回数制限はない」と紹介されています。

ただし、これは日本にムチ使用ルールがないという意味ではありません。

JRAでは2024年から、「2完歩あけることなく、5回を超えて連続してムチを使用すること」などが制裁対象となっています。

つまり日本は、レース全体で何回までという総回数制限ではなく、連続使用を制限する方式を採用しているのです。

当然日本から海外への遠征でも、日本人騎手はこうしたルールに対応しなければなりません。

2025年には #北村友一 騎手がフランスで、2026年には #西村淳也 騎手がアメリカで、それぞれ現地のムチ使用ルールを超過し、制裁を受けました。

これは騎手の技術の問題ではありません。

国によってルールが大きく異なるため、海外ではトップジョッキーでも細心の注意が必要になるのです。

実際、2024年のアジア競馬会議では、クリストフ・ルメール騎手が海外遠征について興味深い話をしています。

ルメール騎手によると、海外で騎乗する際に最も気になるのはコース形状ではなく、

「ムチを何回使えるのか」
「超えたら何日騎乗停止になるのか」
「罰金はいくらなのか」

といったルールだそうです。

それほど国ごとの差が大きいということなのでしょう。

こうして比較すると、「世界共通のムチ使用ルール」は存在しません。

回数を厳しく制限する国。

馬まで失格となる国。

推進目的の使用そのものを原則禁止した国。

そして、日本のように連続使用を制限する国。

同じ競馬でも、その考え方は国によって大きく異なります。

あなたは、どの国のムチ使用ルールが一番良いと思いますか?

ぜひコメントで教えてください。

【出典】
・SAホースレーシング(
http://
SAHorseracing.com)「Global Racing’s Whip Divide: How Different Countries Regulate Jockey Crop Use」2026年5月15日
・英国競馬統括機構(BHA)
・ホースレーシング・スウェーデン(Horse Racing Sweden)
・JRA
・アジア競馬会議2024

このニュースについても、今後新たな制度改正や海外での議論があれば引き続きお伝えしていく予定です。

26.7.2 うまラボ編集部

元記事:Xで公開した記事

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