AI競馬予想の正体とは? 公式資料や研究論文を調べて分かったこと

AI競馬予想の正体とは? 公式資料や研究論文を調べて分かったこと

【AI競馬予想 実証実験企画 第4回】

AI競馬予想の正体とは?

公式資料や研究論文を調べて分かったこと

前回までの検証で、私は一つの疑問を持ちました。

#ChatGPT は競馬新聞を読み、天気や馬場、ニュースなどを検索しながら予想を組み立てていました。

しかし、その姿は私が思い描いていた「AI競馬予想」とは少し違って見えます。

どちらかと言えば、競馬好きの人が一生懸命情報を集めて予想しているような印象でした。

では、世の中で「AI競馬予想」と呼ばれているサービスは、一体何をしているのでしょうか。

今回は、

・AI競馬予想サービスの公式資料

・開発者が公開している技術資料

・大学や研究機関の論文

を中心に調べてみました。

■最初に驚いたこと

最初に読んだのは、日本で競馬AIを開発しているアルファインパクト(AlphaImpact)社が公開している技術資料です。

そこには、次のような一文がありました。

「Feature Engineering in Horse Racing」

「Most important and most time-consuming part.」

(競馬AIにおいて特徴量設計は、最も重要で、最も時間が掛かる作業である)

私は最初、

「AIなら過去データを読み込ませれば、自動で強くなる」

そんなイメージを持っていました。

ところが実際は違いました。

まず人間が、

「AIへ何を学習させるのか。」

これを設計しなければならないようです。

さらに同じ資料には、

「We made more than 1500 achievement features」

(1500種類を超える特徴量を作成した)

とも書かれていました。

■特徴量とは何なのか

ここでいう「特徴量」とは、

AIへ入力する判断材料のことです。

例えば、

・前走から何日空いたか

・馬体重は増えたか減ったか

・騎手が乗り替わったか

・同じ距離での成績

・馬場状態との相性

・父馬や調教師の成績

などです。

私が想像していたように、

AIが競馬新聞をそのまま読んで考えているわけではありません。

人間が数値化した大量のデータを材料として学習しているのです。

■海外でも考え方は同じだった

海外の開発者ブログも調べてみました。

コードワークス(CodeWorks)社が公開している機械学習の開発記事では、

まず特徴量を作成し、その後も新しいレース結果を追加しながら学習データを更新し、

LightGBM(マイクロソフト社が開発した機械学習フレームワーク)やNeural Network(人間の脳の神経回路を模倣した数理モデル)を使って、予測モデルを作成していました。

記事には、

「We first created useful features」

(まず有用な特徴量を作成した)

「Then, we created our training set continuously」

(その後も継続的に学習データを作成した)

と説明されています。

つまりAIが毎回ニュース記事を読んで考えているのではなく、膨大な過去レースを学習し続けているわけです。

■ChatGPTとの決定的な違い

ここで私はこれまで検証してきたChatGPTとの違いがはっきり見えてきました。

ChatGPTは、必要な情報を検索し、文章を理解しながら推論します。

一方、一般的なAI競馬予想は、大量の過去データを学習し、その中から似た条件を探し、確率を計算しています。

同じ「AI」という言葉でも、実際には役割がまったく違っていました。

だから私が第1回から第3回まで見てきた予想過程が、

「競馬好きの人が予想しているみたい」

と感じたのも当然だったのです。

■AIでも簡単には勝てない

さらに調べていて、もう一つ興味深い資料がありました。

英国のステーブルベット(StableBet)は、自社AIの予測結果を継続的に公開しています。

そこではAIの目的を

「市場より正確な勝ち馬を当てること」

ではなく、

「各馬の勝率をできるだけ正確に推定すること」

と説明しています。

さらに最新版の記事では、AIモデルを改良しても結論は変わらなかったと書かれていました。

「The headline conclusion hasn't changed — it doesn't beat the market」

(結論は変わらない。このAIは市場を上回れていない)

私は正直、この一文が一番印象に残りました。

AIなら簡単に馬券で勝てる

そんな単純な話ではないようです。

■今回一番感じたこと

今回、公式資料や論文を読んで分かったのは、

AI競馬予想は、

「AIが勝手に賢くなる仕組み」

ではありませんでした。

人間が

・どんなデータを集めるか

・どんな特徴量を作るか

・何を予測対象にするか

この設計が、AIの性能を大きく左右しているようです。

つまりAIが重要なのではなく、AIへ何を学習させるのか。

そこに開発者のノウハウが詰まっているのです。

■次回予告

では、そのAIは一度学習したら終わりなのでしょうか。

毎週新しいレース結果が増えていく中で、AIはどうやって知識を更新しているのでしょう。

次回はAI競馬予想の「学習」と「アップデート」の仕組みについて、もう少し踏み込んで調べてみたいと思います。

#AI競馬 #競馬AI予想 #うまラボ

2026.7.7 うまラボ編集部

元記事:Xで読む