ムチを使えない見習騎手限定戦、AA25%区分のアングロアラブによるクレーミング、そしてデビュー戦でいきなり国内最速記録――。今夜は、通常の重賞ニュースだけでは見えにくい各国の競馬ルールや制度、競馬の外からつながった人物の話題を中心に世界から集めました。
■ サウジアラビア・ジョッキークラブ(サウジアラビア)
1.見習騎手限定、しかも「ムチ使用禁止」 ターイフで1600メートルの特別競走
サウジアラビア・ジョッキークラブは9月10日、キング・ハリド競馬場で9月12日に行われるターイフ開催の番組に、見習騎手だけを対象とした「ムチを使用しない競走」を組んだと発表した。
競走距離は1600メートル。公式発表では、見習騎手限定であることに加え、「ムチを使用しない」と競走条件に明記されている。
ターイフの2026年シーズンは7月24日から9月26日までの10週、計20日間で開催されている。今回の競走は第8週の土曜日に行われる。
通常のハンデ、年齢、性別、馬のクラスだけではなく、「見習騎手限定」と「ムチ使用禁止」を同時に騎乗条件として設定した競走となる。
■ スヴェンスク・トラヴスポルト(スウェーデン)
2.輸送中の馬への不適切行為で最終処分 調教師・騎手免許6か月停止、全競馬場立入禁止
スウェーデンの競馬統括団体スヴェンスク・トラヴスポルトは9月10日、ヴェイッコ・ハーパカンガ氏に対し、調教師・騎手免許を6か月間停止する最終処分を決定した。
理由は馬への不適切な扱いと動物保護規則への違反。さらに同団体に加盟するすべてのトロット競馬場への6か月間の立入禁止と、10万スウェーデンクローナの罰金も科された。
問題となった行為は8月、競走へ向かう輸送中に発生した。フィンランドの報道によると、輸送車内で馬を繰り返し叩く様子がガソリンスタンドの監視カメラに記録されていた。
ハーパカンガ氏は8月6日から暫定的に資格停止となっていたが、今回、ライセンス委員会が正式な処分内容を決定した。処分期間中は責任調教師として馬を管理することも、スウェーデンの加盟競馬場へ入場することもできない。
■ トラヴサービス(デンマーク)
3.デビュー戦でいきなりデンマーク史上最速 3歳マッチポイントが平均キロ1分14秒7
3歳馬マッチポイント(デンマーク)が9月9日夜、デンマーク・シャロッテンルンド競馬場で競走デビューし、2000メートルを平均キロタイム1分14秒7で走破した。
トラヴサービスによると、これはデンマーク国内の競馬場でデビュー戦を走った馬として史上最速のタイム。
マッチポイントは8月23日の能力試験ではスタートで大きくミスしながら、2000メートルを平均キロ1分18秒3で走っていた。
本番のデビュー戦ではボルトスタートから最後までトロットを維持し、最終周回で後続との差を広げてそのまま勝利。初めて実戦を走った3歳馬が、その一戦で国内のデビュー最速記録を更新した。
■ カーサコース(モロッコ)
4.競走条件に「AA25%」 モロッコでアングロアラブ限定のクレーミング競走
モロッコで9月11日に組まれた競馬番組には、「AA25%」に区分されるアングロアラブだけを対象としたクレーミング競走が設定されている。
対象はモロッコ国内で生産・育成された3歳以上のアングロアラブで、未勝利馬限定。距離は2000メートルとなっている。
さらに出走馬には、1万5000、2万、2万5000モロッコ・ディルハムのいずれかのクレーミング価格が設定される。競走の総賞金は4万ディルハム。
日本の競馬ではサラブレッドを中心に番組が編成されているが、モロッコではアングロアラブを血統区分ごとに分けた競走が通常の開催番組に組み込まれ、さらに売却価格を設定するクレーミング制度と組み合わされている。
■ ウッドバイン競馬場(カナダ)
5.元ワールドシリーズ王者、22年ぶりにトロントへ 今度は「馬主」としてG1挑戦
元メジャーリーガーのジェイソン・ワース氏が、共同設立した競走馬シンジケートの所有馬ランナウェイブライド(米)を9月12日のカナダ・ウッドバインG1ナタルマSへ出走させる。
ワース氏はメジャーリーグで15年間プレーし、フィラデルフィア・フィリーズ時代の2008年にはワールドシリーズ制覇を経験した人物。一方、メジャーでのキャリアが始まった場所はトロントで、2002年9月1日にブルージェイズの選手としてメジャーデビューした。
現在は友人のケン・カイケンダル氏とアイコン・レーシング・ステーブルを立ち上げ、馬主として競馬へ参入している。
ランナウェイブライドは4月のOBSセールで15万ドルで購入された2歳牝馬。7月24日の米国・サラトガでデビューし、出遅れながら直線で差し切って初戦を勝利した。
今回がワース氏自身にとって初めてのウッドバイン競馬場訪問となる。メジャーリーガーとして最初の一歩を踏み出したトロントへ、24年後はG1出走馬のオーナーとして戻る。
