海外ニュース・夕刊

潮が引いた砂浜がそのまま競馬場になる年1回の開催、騎手の「競馬後の人生」を支える教育制度、そして競馬場の立入区域へ注射薬を持ち込もうとした調教師への追加処分――。今日も通常の重賞ニュースとは少し違う、世界各地の競馬文化と制度、人と馬を巡る動きを集めました。

■ レイタウン・ストランド・レース(アイルランド)

1.潮が引いた砂浜がそのまま競馬場 年に1度だけのレイタウン開催

9月10日、アイルランド・ミース県のレイタウンで、海岸の砂浜をコースとして使用するレイタウン・ストランド・レースが開催された。

レイタウンは常設の芝コースやダートコースではなく、潮が引いた後の砂浜に直線コースを設けて競走を行う。アイルランド競馬規則の下で開催されるビーチ競馬として独特の位置を占め、最初に記録された開催は1868年までさかのぼる。

2026年は6ハロンと7ハロンの6競走を実施。通常の競馬場とは異なり、開催そのものが潮位と海岸の状態に左右されるため、毎年1日だけ組まれる。

かつては満潮時にボイン・レガッタのボート競技を行い、潮が引くと同じ海岸で競馬を行ったことが始まりとされる。150年以上を経た現在も、海が引いた時間帯に合わせて競馬を行う形が残されている。

■ ポーリックリポート(米国)

2.注射薬、注射器、点滴器具を競馬場へ持ち込もうとした調教師 州委員会が2年間の追加資格停止

米国コロラド州競馬委員会は9月9日、バリーズ・アラパホーパークの関係者専用区域へ無許可の注射薬などを持ち込もうとしたとされるヴェロニカ・チャベス調教師に対し、追加処分を決定した。

問題が起きたのは6月12日。競馬場の制限区域へ入る車両を調べた際、バッグから無許可の注射薬、複数の注射器、注射針、点滴用器具などが発見されたとされる。

裁決委員は当初、権限内で最大となる180日間の資格停止と2500ドルの罰金を科し、さらに州競馬委員会へ追加処分を求めていた。

9月9日の委員会では罰金を5000ドルへ引き上げ、2年間の資格停止処分を決定。複数の違反について科された2年間の停止期間は同時進行となるため、実際の追加停止期間は2年間となる。

数か月前の違反行為そのものではなく、州競馬委員会が9月9日に新たな制裁内容を正式決定したことが今回の新しい動きとなった。

■ ジョッキーズ・ギルド(米国)

3.騎手267人を調査 現役中から「第二の人生」を学ぶ教育プログラムが本格始動

米国のジョッキーズ・ギルド教育財団は9月9日、現役騎手の継続教育を支援する「アカデミック・サクセス・プログラム」の申請受付を開始した。

財団は現役騎手267人を対象に、学歴や競馬引退後に学びたい分野などを調査。その結果、高校卒業資格に相当するGED取得、馬に関する専門教育、職業資格取得など幅広い分野で継続教育への需要が確認された。

騎手は若いうちから競馬の世界へ入り、学校教育より調教や騎乗を優先して競技生活を始めるケースも多い。さらに収入の変動、負傷による突然の引退、海外出身騎手にとっての言語の問題など、一般的な職業とは異なる事情がある。

財団のエグゼクティブディレクターを務めるのは、元騎手で米国競馬殿堂入りしているラモン・ドミンゲス氏。自身も負傷によって騎手生活を突然終えた経験を持つ。

今回、財団は非営利団体としての501(c)(3)資格も取得。競馬を続けながら将来の職業に必要な教育や資格を取得する仕組みを本格的に動かし始めた。

■ ラブレーシング・ニュージーランド(ニュージーランド)

4.7250NZドルで買われた牝馬が馬主に初のステークス勝利 引退後は同じネット競売へ戻る

8歳牝馬プライオレス(新)が現役を引退し、繁殖牝馬候補としてニュージーランドのオンライン競売「ギャベルハウス」に再び出品されることが9月9日に発表された。

プライオレスはもともとリサ・ラッタ厩舎で4勝した後、約2年前に同じギャベルハウスへ出品され、スージー・ゴードン氏が7250NZドル、現在の為替で約65万円で購入した。

移籍後はさらに3勝。今年7月のリステッド、オプナケCでは厩舎の僚馬ターンジエースを退けて優勝し、ゴードン氏に調教師として初めてのステークス勝利をもたらした。

続くG3ウインターCでは3着。これが最後の出走となり、その後に繋靱帯を痛めたことから、8歳という年齢も考慮して引退が決まった。

最終成績は61戦7勝、2着・3着を合わせた入着は21回。約2年前にオンライン競売で購入された馬が、馬主に初のステークス勝利を届け、競走生活を終えた後に再び同じオンライン競売へ戻ることになった。

■ ラブレーシング・ニュージーランド(ニュージーランド)

5.28戦11勝、故障から何度も復帰 チャーチリアンが繁殖入りへ

ニュージーランドの牝馬チャーチリアン(新)が現役を引退することが9月9日に発表された。

トニー・パイク調教師の管理馬として28戦11勝。勝率は約39%で、2024年のG3アニバーサリーHをはじめ、2026年にはG3ロトルアSとリステッドのタウランガクラシックを制した。

競走生活の途中では複数回の故障を経験したものの、そのたびに復帰。パイク調教師は、G1馬にはならなかったものの、28戦して11勝を挙げた安定したステークスクラスの牝馬だったと振り返っている。

父は英2000ギニー、愛2000ギニーを制したチャーチル。母系にはG1香港CなどG1を3勝したプライドがいる。

繁殖シーズンを前に所有者が売却を決定し、すでに個人間での購入申し出を受諾。今後は繁殖牝馬として第二のキャリアに入る。

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