世界の競馬から、今日見つけた「ちょっと気になる」「思わず誰かに話したくなる」ニュースをピックアップ。メジャーな競馬国だけでなく、日本ではなかなか伝わってこない各国の話題までまとめてお届けします。
■モーリシャス|南アで8戦未勝利だった馬が、移籍後まさかの9戦9勝!史上初の4歳三冠馬に
今日一番「これは面白い」と感じたのが、モーリシャスのCumbre Vieja(クンブレ・ビエハ)の物語です。
南アフリカ時代は8戦して未勝利。7度の入着こそあったものの、モーリシャスへ渡った時点でのレーティングはわずか26でした。
ところが、モーリシャスの名門シャン・ド・マルス競馬場へ舞台を移すと馬が一変。昨年8月の現地初戦を5馬身以上の差で勝つと、その後も負け知らず。
そして先週末のモーリシャスダービーを制し、シャン・ド・マルスで無傷の9連勝。さらにモーリシャス競馬史上初めて4歳チャンピオンシップの3戦すべてを制し、「Triple Crown」を達成しました。
三冠達成によって100万モーリシャス・ルピーのボーナスも獲得しています。
南アフリカでは勝てなかった馬が、海を渡った途端に9戦9勝の歴史的名馬へ――。競馬は環境が変わるだけで、ここまで馬が変わることがあるようです。
■ニュージーランド|競馬とは無縁の少女、プロ騎手になってわずか2戦目で初勝利
ニュージーランドでは、新人女性騎手Alyssa Parris(アリッサ・パリス)がプロとしてわずか2戦目で初勝利を挙げました。
しかも彼女は、競馬一家に生まれたわけでも、幼い頃から競走馬に囲まれていたわけでもありません。
もともと馬とは無縁の家庭で育ち、自分から両親を説得して乗馬を習わせてもらったことがスタート。その後ポニークラブを経て競馬の世界へ入り、今年騎手免許を取得しました。
そしてリカートンのオールウェザー開催でDanny Frye厩舎のMiraquaに騎乗。プロ2戦目にして早くも勝利を手にしています。
「競馬一家のサラブレッド」ではなく、普通の少女が馬を好きになったところから始まり、プロ2戦目で勝つところまで来たという、なかなか夢のあるニュースです。
■南アフリカ|122戦を走った10歳馬が引退 しかも100~102戦目を3連勝
南アフリカでは、10歳馬El Romiachi(エル・ロミアチ)が122戦に及ぶ競走生活を終えました。
通算成績は122戦10勝、2・3着を合わせた入着は43回。
それだけでも相当なキャリアですが、この馬にはさらに面白い記録があります。
なんと自身の100戦目、101戦目、102戦目を3連勝していたのです。
競走馬にとって100戦出走すること自体が珍しい中、その節目から3連勝。7年間にわたり複数の厩舎を渡り歩きながら走り続け、10歳でついに引退となりました。
派手なG1タイトルとは違いますが、こういう「競馬場でずっと走り続けた馬」の記録も、世界の競馬ならではの面白さがあります。
■イタリア|1895年創設の競走が今夜112回目 7年間の中断を乗り越え現在も開催
イタリア・リヴォルノのフェデリコ・カプリッリ競馬場では、今夜「Criterium Labronico」の第112回が行われます。
第1回が開催されたのは、なんと1895年。
かつてはリステッド競走でしたが、出走馬のレーティング不足からその資格を失い、2015年から2021年までは競走そのものが開催されませんでした。
それでも2022年に復活し、今年で112回目を迎えます。
過去の勝ち馬をさかのぼると、1897年の勝ち馬Simbaは翌年イタリアダービーを制覇。1937年にはイタリア競馬史に名を残す名伯楽フェデリコ・テシオが関わったBistolfiが勝ち、後にフランスのイスパーン賞を制しています。
今年はイタリアを代表するBotti一族同士の対決という構図。
「1895年から続く競走が、消滅の危機を越えて2026年にも走っている」というだけでも、なかなか味わい深いニュースです。
■ニュージーランド|16歳で始まった騎手人生、30年・1019勝で幕 最後の舞台はデビューした競馬場
ニュージーランドのKylie Williams(カイリー・ウィリアムズ)が、30年間の騎手生活に終止符を打ちます。
初騎乗は1996年。まだ16歳だったWilliamsが初めて実戦で騎乗した場所がリカートン競馬場でした。
それから30年。
これまでに1019勝、重賞32勝を記録し、昨年には同じリカートンで通算1000勝も達成しました。
そして最後の騎乗場所として選ばれたのもリカートン。
さらに興味深いのが、昨年には息子で豪州を中心に活躍する若手騎手Logan Batesと実際のレースで親子対決まで実現していることです。
引退後は競馬界を離れるのではなく、ニュージーランド競馬の南島地区で若手騎手を指導する「Riding Mentor」に就任します。
16歳の少女として騎手人生を始めた競馬場へ30年後に戻り、今度は次の世代を育てる側へ――。きれいに一周して終わる騎手人生です。
■豪州|北クイーンズランドの地方競馬に約3.5百万豪ドル 2027年は主要4カップすべて20万豪ドルへ
オーストラリアでは、Racing Queenslandが2027年のNorthern Queensland Winter Racing Carnivalの賞金増額を発表しました。
ロックハンプトン、マッカイ、タウンズビル、ケアンズで開催される主要4カップは、それぞれ15万豪ドルから20万豪ドルへ増額。
同じ4都市で行われるGuineasも7万5000豪ドルから10万豪ドルとなり、カーニバル全体では約350万豪ドルが用意されます。
興味深いのは、豪州競馬というとメルボルンやシドニーの巨大開催が日本では注目されがちですが、北クイーンズランドの地方都市を転戦する地域カーニバルにもこれだけの規模の資金が投入されていること。
今年は主要4カップすべてを勝った馬などに最大50万豪ドルのボーナスを設定する仕組みも導入されています。
豪州競馬の巨大さは、G1だけを見ているとなかなか分からないのかもしれません。
■ニュージーランド|無敗馬Well Written、いよいよG1から始動
ニュージーランドでは無敗の牝馬Well Writtenが、9月5日のG1プロイサープレート(1400m)から春シーズンをスタートする予定です。
Stephen Marsh調教師によると、28日の約1週間前となる調整ではなく、前日のエラズリーでの調教を終え、騎乗したMatt Cartwrightもこれまでで最も良い感触だったと評価。
400,000NZドルのG1で、いきなり無敗記録を懸けることになります。
単なる「G1へ出走予定」というニュースなら朝刊向きですが、無敗馬がどこまで連勝を伸ばすのかという継続して追える物語として、夕刊でも覚えておきたい一頭です。
今日の編集部ピックアップ
今日の中で特に「誰かに話したくなる」という夕刊の方向性に合うのは、やはりモーリシャスのCumbre Vieja。
そして個人的には、122戦した馬が100戦目から3連勝したEl Romiachiもかなり強烈です。
G1の勝ち馬や有名馬だけを追っていると、こういうニュースは日本までほとんど届きません。
世界まで範囲を広げてみると、競馬にはまだまだ知らない話が転がっているようです。
26.8.28 うまラボ編集部
